僕が20代前半だったとき、ある人に言われたことがある。


「君の話しは長いなぁ。うざったく感じるくらい長いよ。でも、ちゃんと聞くと面白いよ。論理的な展開も持ってるし、まるで新書を一冊読んでるような内容だよ。
だけど、俺が気になるのは、君は全く、君自身の事は話してないよね。
そこが君の問題点だと思うし、君の弱さなんじゃないかな。」


そう言われたとき、自分の本質を言い当てられたような気がして、僕は少し落ち込んだ。



僕はあまり自分自身のことは語らない。そういうのすごく苦手なんだ。
人格形成のどこかで問題あったんだろうなと、自分で自分を揶揄することもある。
素直じゃないだけかも知れない。
だけど、ときには話したいときもある。ブログなら特定できないから良いかも知れない。
ほんの少しだけ僕のことを話そうか。





僕のそういう性格を分かった上で、付き合ってくれているゲイ友もそう多くはないけど数人はいるんだ。そういうゲイ友の一人であるF君と先日食事したときのことだ。


F君と僕は同じ年齢で、学年も同じ。知り合ったのは26のときだ。
そのときは僕には彼氏がいて、彼は別れたばかりだったんだ。今は逆で、僕はシングルで、彼は恋人と同棲している。なんか腹立つけど・・・w。

ゲイ同士の友達付き合いって微妙な関係が多いけど、彼とはHをしたことはない。
「もしお互いが恋人いない時期に出会っていたなら、付き合っていたかもな」
「そんなわけねーだろ」というくだらない会話をいつもする。

こいつと付き合ってもたぶん長続きしないだろうとお互いに思ってると思うのだけど。
F君とは昔は一緒に遊びにいくこともあったけど、今はときどき食事するくらいだ。
先日、彼に連れられて梅田にある創作料理店みたいな感じのところで二人で食事をした。


「ヨースケ 彼氏できた?」
「いや、いないよ。 っていうか今は作る気しないんだ。」
そういうとF君は なんで?と言った。

「うーん、なんて言うのかな。今はそういう気分じゃないんだ。なんか一人で居たいっていう、そんな感じの人生の、あるスポットに入ってしまったみたいなんだ。」


一瞬寂しそうな顔をしたように見えたけど、「そっか、そっか」と言って彼はすぐに話題を変えてくれた。
けっこう気が利くヤツなのかもしれないと思うときがある。
僕があまり持ち合わせていない面が彼にはある。



いつもはだいたい僕が一方的に話しをして、F君は聞き役に徹することが多い。
僕は昔からの性格で、何か話したいモードに入ったら自分が納得行くまでずっと喋ってしまう癖があって、喋ってしまうというか、何かゲームの「テトリス」をするように「うまくそこに嵌め込んでいきたい」っていう感覚に近いかも知れない。
そういう感じで、「こう思うんだ。なぜならこうだからね。」みたいな感じで、論理や理屈をはめていくような感じだ。もうそのモードに一旦入ると話しはなかなか終われない。
話しを途中でやめるのはなんか落ち着かない気分になるんだよな。


だけど、そういう話し方はあまり人から好かれない気がする。
だから僕はそういう話し方は人を選んでするようにしている。僕の話を、興味を持って聞ける人は、頭が良いか、よっぽど我慢強いかのどちらかだと思うからだ。


ゲイ友には「僕はこういう癖があるから、うっとうしく思ったら軽く聞き流してくれ」と自分のことを説明することが多い。でも最近は本当に相手がうっとうしそうに感じていることに気づいたら、自分から話題や話し方を変えるように気をつけていたりもする。
ときには、下ネタやジョークを言って場を和ませたりもする。


昔はただただ面倒くさいやつだったと自分でも思うのだが、僕も少しは大人になったのかも知れない。その結果、真面目なのか不真面目なのかよく分からない性格と言われることもある。
なんかある意味では哀しい性格かも知れない。